更なる女子サッカー界のレベル向上を目指し、世界の女子サッカーを牽引する2国が手を取り合い、これまでにない画期的なプロジェクトを遂行しようとしている。今や女子サッカー人口が25,000人以上となった日本と、世界一の女子サッカー大国アメリカ。長らくライバルとして女子サッカー界に革命を起こしてきた両国がこの度遂にタッグを組み、次世代のなでしこジャパン候補生の育成に向けたニューウェーブを、2017年に長野県で起こそうとしている。
当プロジェクトは、高校年代トップレベルにある日本の女子サッカー選手達を世界の一流学生アスリートがしのぎを削り合うアメリカの大学女子サッカーリーグであるNCAAで武者修行させ、大学時代から世界のサッカーに触れさせることで将来の日本女子サッカー界の更なる底上げを狙うもの。日本女子サッカー界としては、良い人材を日本に留まらせず積極的に海外で成長させる機会を与えることができ、アメリカサッカー界としては、世界最高水準にある日本の技術を早い段階から見習うことができる。お互いに実力を認め合っている2国だからこそ実現するプロジェクトだ。
世界のトップアスリート育成の先駆けとして、今回はその可能性を秘めた候補生たちに海外での成長の機会を与える”きっかけ”が提供される。選手は、武者修行の場となるアメリカのNCAA(全米体育協会)に所属する大学コーチ陣の前でトレーニングを行い、コーチ陣よりアメリカの大学で通用するレベルにあると判断された選手には、大学側より返済の心配がいらないスポーツ奨学金をふまえたオファーが提示される。言い方を変えれば、アメリカの大学女子サッカー部へのセレクションともなる今回のイベントは、アメリカへの大学女子サッカー進学を目指す高校生にとってもまたとないチャンスとなる。
プログラムの開催予定地は、日本の中心に位置する長野県。長野県といえば、なでしこリーグで現在2位(16年9月18日時点)につけ、一試合あたりの平均観客動員数では3503人(16年5月8日時点)とリーグトップを誇るAC長野パルセイロレディースが本拠地を置き、日本女子サッカーの躍進を支える地域として知られている。関係者の話では、当プロジェクトには長野県と某なでしこクラブが強く絡んでいるという。日本から世界への鍵は長野が握っているようだ。
日本女子サッカー界のパイオニアとされる澤穂希氏。女子サッカーに一切の関心が持たれていなかった日本を、いつか世界一に導きたいと渡った地がアメリカであり、そのレベルにまで成長させてくれた地もまたアメリカだ。このプロジェクトは、澤氏が開拓した道の継承者を発掘するモノともなりそうだ。