長野から世界へ!米国大学女子サッカーセレクションキャンプが長野県にて開催!

 SDSAは3月19日(日)、20日(月)、米国大学へのサッカー進学を目指す女子高校生のためのセレクションキャンプを長野県長野市内にて実施した。会場には12道府県より56名の女子中高生が参加し、米国から招聘されたコーチ5名が施すトレーニングを通して、米国大学への進学を掛けたアピールに励んだ。日米女子サッカー界の発展が顕著に期待されるイベントの開催は過去に例がなく、今回が初となる。キャンプ中に参加生徒がこぼす笑顔や、生き生きとした眼差しからは、進路先拡大としてのキャンプ本来の意義を越え、サッカーそのものが持つ本質的な魅力を生徒に再認識させるものともなった。

 

 今回のキャンプは、なでしこリーグではどこよりも米国進出への重要性を理解しているAC長野パルセイロと共催することで実現した。過去に男子版となる米国大学キャンプを2度施行している弊社だが、今回ほど、参加者ならびにコーチ、そして運営スタッフから反響が大きかったキャンプはこれまで記憶にない。

 

 これは一つに、共催のAC長野パルセイロや現地の強力な支援組織が、これまでになく参加生徒やコーチ陣への良質な環境提供に重点を置いた事が要素として挙げられる。過去に、オリンピックといった世界規模のイベントを成功させた長野県には、他と比べても、外国人を迎えると言う精神が強く根付いている。今回のセレクションキャンプのためにも、会場は長野オリンピックスタジアム(BCリーグ信濃グランセローズ本拠地スタジアム)と、長野Uスタジアム(AC長野パルセイロ本拠地スタジアム)が用意された。どちらもプロのスポーツチームが使用するスタジアムとあり、申し分ない。生徒のテンションを向上させる環境と、生徒の潜在能力をうまく引き出すことのできる米大コーチ陣との組み合わせは、まさに駆け馬に鞭のようなものであった。

 

キャンプを有意義なものとしたもう一つの要素に、生徒たちのまっすぐな姿勢がある。今回参加した生徒たちからは、留学に対する溢れんばかりの熱意が感じられた。これは、会場の設備やコーチの指導と生徒の前向きな気持ちがコーチ陣に火をつけた結果だ。

 

 今回の参加生徒の中には、キャンプのリサーチから参加申込み手続きまで、親御さんに相談することなく、全て自分で進めた生徒もいる。事後報告された親御さんは驚いたと言うが、高校3年生になる生徒が、海外を視野に入れた進路のリサーチから実際に行動に至るまで、親を挟まずに一人で出来るだろうか。彼女のように、高校生の時点で精神的自立がしっかりできている生徒は、海外に出ても問題なく生活していける。彼女もすごいが、親御さんの教育がしっかりされているのが見て取れるだろう。

 

 今回の参加者は、彼女のように精神的に大人びた生徒が多かったように感じる。こういう生徒は、自己批判ができ、環境に責任を押し付けるようなことはしない。向上心が強く、反省と改善が自然とできる。それが成長につながる。今回のセレクションキャンプが成功に終わった大きな要因は、精神的に自立した生徒が多く集まった事、それに尽きるのかもしれない。

 

今回のセレクションキャンプから世界へのチャンスを掴んだ生徒は多い。しかし、そのチャンスをどう捌くかは彼女たち次第だ。世界に出ることはそう簡単な事ではない。道が用意されれば誰でも行ける、そんな甘いものでもない。いざとなれば不安も出てくる。その不安も徹底的な調査を積んだからと解消されるものではない。実際に行ってみないと分からない事のほうが多い。百聞は一見に如かずとはよく言ったものだ。最終的にはその一歩を踏み出す覚悟があるかどうか。その勇気が最後にものを言う。

 

 「長野から世界へ!」今回のキャンプのスローガンとして掲げたこの言葉は、チャンスを掴んだ生徒ではなく、チャンスをものにした生徒に相当するものである。今回のセレクションキャンプが、数年後のなでしこジャパンに変革をもたらす期待が膨らむのは言うまでもない。イベントにご支援・ご協力くださった皆様に、心から感謝申し上げたい