ケンタッキー大学女子サッカー部でのシーズン初年度を終えた山田ひかりさんのインタビュー記事後編。
ケンタッキー大学の授業の様子について教えて下さい
ケンタッキー大学では現在、5つのクラスを履修しています。そのうち、最も楽しく学ぶことが出来ているのが中国語のクラスです。中国語は日本語と相似している点が多いため、習得しやすいものと感じています。英語と共に中国語を学ぶことが出来ている今の環境には、充実感を覚えています。
大学の授業で最も苦労するのは、講義内容が理解できないときです。教授によっては、1時間から2時間ひたすら話し続ける方もおり、7月に渡米したばかりの私にとってはなかなか酷なものとなっています。そのため、内容が理解できないときには、クラスメートに聞いたり、時には教授に直接確認したりし、なんとか遅れを取らぬよう食らいついています。ただそれでもまだ不十分なため、復習も欠かさず取り組むようにしています。どの授業も毎回のように課題が課されますし、良い成績を維持するためにはそれぞれ確実にこなさなければなりません。そのため、週に4回は大学が提供するTutoringサービス(個別指導サービス)を利用しています。多くの方々の協力を得て、なんとか文武両道に励むことができています。
アメリカでの食生活は如何ですか
アメリカの食事と聞くと、量が多い上にカロリーも規格外というイメージがあるかと思いますが、全てが全てそんな食事ばかりではありません。ケンタッキー大学には2つの大規模なカフェテリアが完備されており、学生はどちらでも自由に食事を摂ることができます。これらのカフェテリアには多国籍料理が並び、国籍問わず学生の舌に合うよう工夫が施されています。もちろんここでは野菜や果物も用意されているため、アメリカであろうと健康的な食生活を送ることもできます。私の在米歴も約4ヶ月となりますが、ピザやハンバーガーといった不健康なファストフードは未だ一度も口にしていない気がします。その他、学内にはアスリート専用のキッチンが完備されており、そこでは大学側が用意した食材で自身の好きなものを調理し食べることができます(寮に持ち帰ることもできます)。食生活におけるケンタッキー大学の学生に対する気遣いは目を見張るものがありますが、私は個人的に納豆やお味噌汁といった日本食が好きなので、そこに対して恋しい気持ちになることは多々あります。
ケンタッキー大学の大学施設、設備に関して教えて下さい
大学設備は本当に充実しています。ここにきて最も驚いたのは、日本の大学と比べものにならないその規模です。ケンタッキー大学は東京ドーム65個分の敷地面積を誇り、そこに建ち並ぶ学生寮や教室などの建物は、どれも近代的で綺麗なものばかりです。またケンタッキー大学は学生アスリートに対するケアを徹底しており、各チームには立派なスタジアムをはじめ、会議室やロッカールーム、キッチンやトレーナー室などが用意されています。ただ一つ難点を挙げるとすれば、ここには遊べる場所がないという点です。自然豊かなケンタッキー州は、都市部からはかけ離れたところに位置しています。見渡す限り緑が広がっているここには、ニューヨークやロサンゼルスのような“遊び”にも適した環境はありません。ただ、今はそんな時間もないので、困ることは特にないのですが。
1日のスケジュールを教えて下さい
女子サッカーのシーズンとなる8月から11月中旬までは午前中に練習が組まれているため、授業は午後に入れてあります。私の所属する女子サッカー部は、朝8時に全体ミーティングを行い、9時から練習が始まります。全体ミーティングでは、前節の試合の反省や練習内容の確認、そのときのチームの状況などについて話し合います。シャイな日本人に比べて、アメリカ人は自分の意見をしっかりと持ち人前で発言することが出来ます。そういった部分は、私たち日本人も見習うべきところだと感じています。練習は通常2時間30分から3時間ほどで終わり、その後授業に向かいます。授業の開始時間は曜日によって異なるため、それによって昼食の時間が左右されます。日によってはプロテインバー片手に授業に向かう日もあります。私の場合、全ての授業の合間が10分しかないため、あまりゆっくりできる暇がありません。ただ履修する授業の数はJunior(3年生)やSenior(4年生)になるにつれ少なくなるため、それに伴い自由な時間も増えてくると思います。一日の授業終了後には、『CATS』という学生アスリート専用の自主学習室に行き、夜遅くまで課題やテスト勉強に励みます。その後、学生寮に戻れるのは21時ほどとなり、そこから更に必要があれば課題や復習に取り組み、一日が終わります。
休日はどのように過ごしていますか
シーズン中は特に休日という休日は無く、練習がオフとなる月曜日にも自由参加型の筋力トレーニングが予定されていたため、オフの日でも最低限のエクササイズはするようにしていました。ただシーズンが終了し、自由な時間が増えてからは、勉強に費やす時間が増え、シーズン中に後回しにしていた部分まで目を向けられるようになりました。女子サッカー部のチームメートは、シーズンが終了し練習が無くなった途端に、パーティ三昧の日々を送るようになってました。私も彼女達から誘いを受けたときには多少のオシャレをし、パーティに顔を出すようにしています。皆と楽しい時間を過ごすことが出来るこういった時間は、私にとって良い息抜きとなっています。
最後に来季の目標を教えて下さい
来季の目標に関して、まず個人としては、スタメンへの定着とフル出場できる試合数を増やすことを目標に掲げています。そのために、今シーズンに露呈されたフィジカルや競り合いの弱さ、そして判断スピードの遅さなどを克服していきたいです。また来季は、与えられた出場時間のなかで確実に結果を残せるようにもしたいです。これはコミュニケーションの部分を改善するだけでも変化が出てくると思いますので、来年はよりチームメートやコーチ陣と話す時間を増やし、自分の意思や考えを共有していきたいと思っています。また、アメリカのシーズンはとても短いため、怪我なく常に良いコンディションを維持できるよう、自己管理にも余念を残さないようにしていきます。
またチームとしては、SEC(ケンタッキー大学が所属するカンファレンス)のタイトル獲得を目標に掲げています。来年は私も2年生となり、多少の慣れが出てくるかとは思いますが、常に初心に戻り、両親や応援して下さっている方々への感謝と謙虚な気持ちを忘れずに頑張っていきます。勉強面でも良い成績を維持できるよう、文武両道に励んでいきます。
自身の目標に向かって努力を惜しまないひかりさん。彼女の今後の活躍から目が離せません。