
2021年1月、山口楓さんは千葉県から飛び出し、挑戦の舞台をアメリカ・テキサス州に移しました。
山口さんは2019年の米大女子セレクションキャンプにて、テキサス州にあるナバロ大学から奨学金のオファーを受けた選手です。
暁星国際高校在学時は、アメリカ・サンディエゴに遠征へ行ったり、キャプテンとして全国大会に2度出場したりするなど、国際経験から国内のトップレベルのサッカーまで経験し、様々な実績を積みました。
2020年3月に高校卒業をし、8月には大学入学に必要なTOEFL61点を取得しました。
しかしながら、アメリカでのコロナ感染拡大の状況が非常に悪い時期であり、シーズンも全て全米が延期をするという事態により、山口さんも渡米のタイミングを遅らせることになりました。
そんな山口さんは延期になっていたアメリカでの1シーズン目を無事終え、現在2021年の2シーズン目の準備をしています。
今回は、山口さんに1シーズン目の様子や、現在のチームや大学の様子をインタビューしました。
以下、ご覧ください。
テキサスのみならず、全米で言えることですがコロナの集団感染が起こってしまったことで、予定していたタイムラインと全く違う流れになってしまい、予想だにしないことにも臨機応変に対応しなくてはいけなかったことは大変でした。
大学サッカーシーズンは9月に行われるはずでしたが、翌年の1月に延期になり、その影響で渡米のスケジュールもすぐには決まらずバタバタしました。
コロナの影響は関係ないかもしれませんが、やはり勉強は大変でした。TOEFL取得のために英語学習には一生懸命に取り組み、英語力は渡米までに伸びている実感はありましたが、現地での授業となるとスピード感や人によるアクセントなど、その場でしか感じられないこともたくさんあり、必死に食らいついていった印象があります。

現在(8月上旬)はマスクの着用は強制ではありません。
しかし、変異株の感染も徐々に広がっているという現状もあり、女子サッカー部の中ではマスクを着用するルールになっていて、それに加え消毒や、ソーシャルディスタンスを徹底しています。

今までとは全く違う環境でのプレーが始まると同時に、これまで以上のパフォーマンスをしていかなくてはいけないことや、これまでとは全く違う言語を使ってチームメイトやコーチ達とコミュニケーションを取らないといけないと言うのはやはり大変でした。
伝えたいことを100パーセント伝えられているのか、相手の伝えたいことを100パーセント理解できているのかなど、不安もありました。それでもプレーの流れがあったり時間が限られている中で最善を尽くしました。
色々なチームと対戦したり、他チームの試合を見ている中で、私たちのチームは全米優勝をしたチームよりも、チームワークが足りていなかったということを実感しました。
チームのプレースタイルや選手によるとは思うので一概には言えませんが、アメリカのサッカーは日本と比べ、全体的に足元の技術のクオリティの高さはそこまで感じませんでした。
しかしながら身体の大きさや、フィジカルの強さに関しては、これまでにないものを感じました。
今後、そういったものにどう対応していけるか等考えながら練習をしていきます。
朝は早く起きて、ジムで筋トレを中心にフィジカル強化のトレーニングをします。
その後、各自の履修している授業に出席します。授業はずっと立て続けというわけではありませんが、授業と授業の間の時間などには課題などを進めています。
そして、午後にフィールドに出て練習をするというのが、基本的な一日の流れでした。
オフシーズン、プレシーズン、シーズン中などにより練習の内容は変わってきますので、スケジュールも多少変わったりします。
これからのトレーニングは、3部練になります。
今ではまだ、コロナの影響もありオンライン授業も多い状態です。
対面授業だと、黒板やホワイトボードに授業の内容が書かれるということはほとんどなく、教授が話しているのを聞き取ってノートに書きこむような受講方法が基本です。
現地生と同じスピードで進むので、大変ですが頑張っています。

チームに合流した最初の頃はチームメイトの話を聞き取ることですら難しかったのですが、チームメイトも優しく、こちらが困るとゆっくり喋ってくれたり、ジェスチャーを使って話をしてくれているのでコミュニケーションは取れてきました。
アクセントや、スピードにも慣れてきているので、今後はもっと密なコミュニケーションがとっていけると思います。

昨シーズンはあと1歩のところで全米大会出場を逃してしまいました。
次シーズンは全米大会に出場と、優勝を目指しています。
個人目標としては得点とアシストで結果を残していきたいです。
高校在学中からコツコツと文武両道で努力を重ねてきた山口さん。
初のアメリカでの大学生活はコロナの影響で非常にイレギュラーな形も多かったです。
そんな中でも、目標を下げてしまうことなく突き進んでいた印象があります。
初のシーズンでは12試合中12試合でスタメン起用をされ、MFとDFをマルチにこなし、チームのバランスをとる重要な役割を担っていました。
シーズンを通して、2得点、2アシストと数字でもしっかりと結果を残し、チームに貢献しており、これまでの経験や実績がアメリカでも通用することを証明できたのではないでしょうか。
まだまだこの結果に満足することなく、さらなる高みを目指していって欲しいと思います。
今後の山口さんの活躍に期待が高まります。