ノーステキサス大学(NCAA D1)岡田 真波さん インタビュー

テキサス州はデントン、教育、商業、音楽で有名なこの地域でアメリカの大学サッカーに打ち込む一人の日本人選手がいます。現在ノーステキサス大学(NCAA ディビジョン1)に所属する岡田 真波さんです。

 

岡田さんは2019年の米大女子セレクションキャンプにて、テキサス州にあるナバロ大学から全額奨学金のオファーを受けアメリカでの大学サッカー生活を始めた選手になります。

 

2019年に修徳高校を卒業したのち、猛勉強の末TOEFL61点を取得しテキサス州にある2年制大学、ナバロ大学に進学しました。

ナバロ大学在学中は全米大会への出場、リーグ全米優秀選手リスト入りなど好成績を納め、強豪校ノーステキサス大学からの全額奨学金のオファーを手にしました。

 

今回は岡田さんにこれまでのアメリカでの生活や現在の新しい環境についてインタビューをしました。

 

前回のインタビューはこちら


ナバロ大学での2シーズン、振り返ってどうでしたか?

1年目のシーズンは、入学前に英語をしっかりと勉強して既定の英語力を証明してはいましたが、実際に生活してみるとやはり言葉の壁を感じ、仲間とのコミュニケーションが大変だったことが印象的です。

 

細かいことはしっかりと説明し合えないと意思疎通ができないと感じることも非常に多かったですが、なんとかプレーを通してチームメイトとの意思疎通を繋ぎとめたような感覚でした。

 

今思い返すと、大学自体のこと、所属しているリーグのシステムなど100パーセント理解は出来ていませんでしたが、とにかく勉強とプレーを突き詰めることに必死でした。

 

2年目のシーズンからはもっと様々なことに対して理解度を上げることが出来ました。授業一つ一つから、重要な試合やリーグシステムなど、やはり言語の上達が大きかったです。

だからこそ、チームメイトや監督と意見がぶつかり言い合いになることも多々ありました。監督からの期待と、同時にプレッシャーを感じそういった点はプレーする中でストレスでもあったのが正直なところです。

 

サッカーのレベルは正直に言うと全体的に自分が思い描いていたレベルではなく、自分がチームを引っ張ていかなくてはいけないという意識は日に日に強まっていきました。

周りに合わせてチームとして前に進まなくてはいけない一方、自分一人でやってしまいたい気持ちが出てきてしまうこともあり、そのあたりのバランスや全体を見通す意識の狭間で悩む時間も多かったです。

 

ただ、チームメイトはみんな良い人で、かけがえのない仲間でした。ナバロ大学を編入した後もわざわざノーステキサス大学の試合を見に来てくれたり、私自身もナバロ大学の試合を見に行くほど、今でも交流しています。

そういった出会いも全て含めて彼女たちとプレーできたことは非常に勉強になり、いい経験ができたと思っています。

 

それと、一番は監督の存在です。ナバロ大学のアリシア監督は選手たち一人ひとりを自分の子供のように面倒を見てくれました。

アリシア監督のような指導者の存在のありがたさはナバロ大学を離れた今だからこそ感じ、恵まれた出会いに感謝しています。

新しい大学への編入まではどんな流れでしたか?

結果から言うとノーステキサス大学からのオファーを受けることにしました。コロナ禍ということもあり、イレギュラーではありましたが、ナバロ大学でのプレーとビデオをもとに、ナバロ大学のアシスタントコーチの繋がりでオファーを受けた形でした。

 

他の大学からもオファーはいつか頂いていましたが、大学の施設やオファー内容、チームの成績等踏まえて決めたような形です。オファーとしては全額奨学金とその他生活にかかる費用を既定の額までチームが負担してくれるものです。

 

ただ、サッカーの面でどんなプレーをするチームなのか事前にもっと確認し理解しながら考える時間があればよかったとも思います。

私の場合はコロナの影響でシーズンがずれ込んだり、特にNCAAはコロナ禍のシーズンがずれ込み短くなってしまったことから、その年はプレー年として加算しない処置をとった為、すでに所属する選手が1年予定より多く残るなどのケースが多くありました。

アメリカの大学スポーツは毎年約30名のみでチーム編成をするため、私が頂いたオファーの中には魅力的なものも1年待ちという条件付きのものもありました。

チームを移ることによってサッカーの違いなどは感じますか?

編入後は、少し蹴るサッカーの要素が増えたと感じています。ただ、チームの意向としては繋ぐサッカーを目指していきたいようで、その要素を増やす為に現在は中盤のポジションを任されていて、これまでの蹴るサッカーのスタイルを変えていかなくてはいけません。

 

サッカーのレベルは上がりました。毎年結果を残してきているチームなので全体的にレベルの高い選手が多いです。特にフィジカル面はすごく、これまでと違いを感じています。あとはスピード面ですが、ナバロ大学にいた頃はチーム内では速い方でしたが、現チームでは思ったほどスピード任せで勝てている印象はないです。チーム全体としてはそこまで技術力が高いというようなメンバーではありませんが、対戦相手によっては技術の高さに驚かされることもあります。それでもついていけないほどだとは思っていませんので、そういった面も楽しんでいます。

 

現チームに移ってからは、施設などはすごく充実していて、ホットタブ、アイシングプール、屋内フィールド、ジム設備もしっかりとあります。チーム帯同のトレーナーもいて、資格あるトレーナーによる鍼の治療もできることには驚きました。

大学生活や授業はどうですか?

現在は心理学専攻です。スポーツ心理学にも興味があります。あとは元々音楽の方にも興味がある為、副専攻などで音楽を学べるように色々と今後のプランを考えているところです。

 

授業に関しては非常に忙しくて、正直今苦しいです。部活動との両立をしていかなくてはいけない中、今学期は1つの教科にてこずっています。

 

2年制のナバロ大学では授業が少人数制だったため、教授とのコミュニケーションが容易に取れ、わからないことがあったら質問しに行けたりサポートが手厚かったです。一方、現在通う4年制だと1クラスに200人以上生徒がいて、教授とコミュニケーションを取る時間があまりありません。メールで質問を送っても返信までに非常に時間がかかったりと、これまでにない不便さは感じます。

 

教授によってはパワーポイントを読みながら解説するだけの授業のような形もあり、留学生にはなかなか鬼門です。

 

2年制大学と4年制大学の違いを体感すると、ナバロ大学でも勉強のしやすさとサポートの手厚さが非常に魅力的だったと感じます。

 

現在はチームメイトとオフキャンパスのアパートに住んでいますが、昼食は大学の学食で食べ、それ以外は基本的に自炊なので体調面もしっかりと考慮しながら生活しています。

2021年の新シーズン、どんな目標がありますか?

シーズンが始まってすぐ、怪我をしてしまいしばらくの間離脱をしていました。

やっとリハビリも終え試合に戻ってこられたところで、プレーの感覚も取り戻せてきました。

 

今シーズンも残された試合もわずかですので、自分がここにいる意義を考えながらチームに貢献できるようにプレーしていきたいです。

 

チームの調子も上がっているので、プレーオフやその先の全米トーナメントに向けて、後悔の無いよう全力で挑んでいきます。

今後サッカー留学を目指す人へアドバイスをお願いします

留学をしていく中では良いこと悪いこと様々なことが起こりますが、全てに関して自分自身が要因だと思います。

 

精神の強さというのは私自身の中では常に意識していて、言語でもサッカーでも、共通することは同じです。心を強くもっていることが出来れば出来る程、良いと感じています。

 

どんな状況でも自分自身の考え方や動き方で良くも悪くもなり、次に生かせるかが変わります。

私自身、留学前から思い返すと苦しんだことも沢山ありましたが、乗り越えるためには他人がどうこうというよりは自分自身が強くなるしかないと思って乗り越えて来ました。

 

以前の環境や快適だった時間が恋しくなることもあるけれども、そこに甘えず今の環境でどう強く生きていくか常に考えています。

どんなときもポジティブに生きていくしかないし、精神面が強ければ何か次につながっていくと思います。

 

これからサッカー留学を目指す方々も、様々な困難があると思いますが心を腐らせることなく頑張って欲しいです。


岡田さんは留学前からコツコツと日々努力を重ね、自身の道を切り開いてきました。思い通りにいかないことや想定外のことがたくさん起きながらも、信念の強さを武器にここまで突き進んでいます。

 

そして前向きな気持ちを持ちながら、そのエネルギーは周囲の人にも影響を与え、チームやチームを支える役割を任されたりと監督やコーチからも非常に厚い信頼があるようです。

 

現在、3年目のシーズンで、今後もまだまだ岡田さんの文武両道の留学生活は続きます。

これからも持ち味を生かし活躍を期待したいです。